準備は早いうちに! 元気なうちだから出来る相続対策

2022年06月13日

高齢になるほど認知症のリスクが高まります。もし、認知症によって判断能力がなくなってしまうと、たとえ、自分の財産でも自分の判断で財産を処分することができなくなります。そこで今回は、万が一の備えとして覚えておきたい、『家族信託』『成年後見』『生前贈与』の3つの制度を紹介します。

資産のみ管理を任せる家族信託

家族信託を利用すると、主に子供などの家族で財産を管理してくれる人(受託者)と本人(委託者)が信託契約を結ぶことにより、財産を受託者に移転し、その管理や運用を受託者に任せることができます。家族信託の大きなメリットとしては、認知症などによって委託者の判断能力が衰えてしまっても受託者が財産の管理・処分などをできること、それから、家族信託は遺言の役割も担うことができる(遺言代用信託)ことなどがあげられます。

身上監護つきの成年後見

成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度という2つの種類があります。この成年後見が家族信託と大きく異なる点は、財産管理だけでなく身上監護まで仕事に含まれることです。身上監護とは、前述した施設の入所契約の締結や介護サービスの締結などの法律行為を行うことを指します。

生前に財産を渡したいなら相続税対策にもなる生前贈与

生前贈与とは、自分の意思で別の人に無償で財産を渡すことを言います。生前贈与を行うと相続税の課税対象となる財産を減らすことができますが、生前贈与の際に受贈者に贈与税が課税されます。贈与者から受贈者が生前贈与を受ける際に、下記の相続時精算課税制度の要件を満たす場合は、以下のふたつのうちどちらかを選択できます。

●暦年課税
受贈者が1月1日~12月31日までの1年間に受け取った財産の合計額が110万円を超えた場合、その超えた分に対して贈与税が課税されます。

●相続時精算課税
贈与をする年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母から贈与を受ける年の1月1日において20歳以上の子または孫へ贈与する場合に、選択することが可能です。相続時精算課税を選択した後は暦年課税は利用できなくなりますが、受け取った額の合計が2,500万円を超えるまで贈与税は課税されなくなります。ただし、相続時には、生前贈与額分を相続額に組み込んで相続税を支払う必要があるので、いわば『生前贈与の贈与税を、相続時まで先送りする制度』といえます。

元気なうちにしか相続対策は出来ない

生前対策の選択肢は色々あります。そして、それぞれの制度がカバーする範囲や役割もさまざまあります。
しかし、認知症を発症してしまうと「意思能力のない人」と扱われる可能性があり、相続対策は利用できなくなります。なるべく元気なうちに対策を検討しておくことが大切でしょう。

 

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