法務局で自筆遺言を保管する制度

2021年06月01日

民法改正(相続法改正)

2018年民法(相続法)が改正され、相続に関するルールが見直されました。従来、自筆証書遺言は手書きで作成し、作成者自身で保管していました。しかし、2020年7月より法務局に預けられる制度が開始しました。また、遺言書の財産目録については、自筆でなくてもパソコンなどで作成したものを添付できるようになりました。(ただし、遺言書の本文は自筆でないとだめです)

流れとしては、自筆遺言を作成したら法務局の予約をとり、そこに出向き保管してもらいます。準備する物は、手書きの自筆遺言書、住民票、身分証明書などです。申請書に3900円の印紙を貼り、保管証を受け取ります。遺言者が亡くなった場合、相続人が戸籍一式などを準備し、受取の手続きに法務局に出向き証明書を受けとります。

注意する事項

・法務局の案内には「形式面での注意はありますが遺言内容についての審査はしません」と書かれています。これまで法的要件を満たさず、その自筆遺言書で相続手続きできなかったケースをよく見かけましたが、内容のチェックはしてくれないのでそのリスクは残ります。法律の専門家である公証人が遺言を作成する公正証書遺言とは、基本的に違います。

・銀行によっては、その自筆遺言書を相続手続で窓口に持ち込んでも、解約手続きしてくれないリスクがあります。銀行は相続人間の争いに巻き込まれたくないので、遺言内容の法的チェックがされていない自筆遺言書ですと「相続人全員の実印と印鑑証明をもらってきてください」と言ってくる可能性も否定できません。