連れ子の相続と養子縁組

2020年04月13日

どんなに仲が良くても、どんなに長い年月を一緒に過ごしていても、残念ながら、後妻(夫)の連れ子には相続権はありません。

介護や身の回りの世話をどれだけしても、連れ子は遺産を何も相続することはできません。それは血のつながりがないからです。

解決方法はただ一つ。養子縁組をすることです。

離婚・再婚の経験がある人は、養子縁組をしているかどうか、事前に確認しておく必要があります。

逆に前妻(夫)との子供には相続権があります。

離婚されて、子供さんが前妻に引き取られている場合はその後の交流が途絶え、相続発生時には居所が不明で連絡がとれなく、大変苦労される場合があります。相続が発生して相続手続をしてみたら認知している子供がいたなんてこともあります。事前に子供さんにはお話しされておくことは大事です。

相続人が相続人でない?

Aさんは実父Bさんが亡くなった後も、後妻である母親Cさんと仲睦まじく生活していましたがCさんが亡くなり、Aさんは相続手続のため出生から死亡までの戸籍を取得して驚きました。父の再婚後、CさんとAさんとの間で養子縁組がされておらず、AさんはCさんの相続人でないことが判明したのです。相続人はCさんの兄弟姉妹5名でした。

40年以上も実の親子のように暮らしてきたため、相続人全員がAさんに同情し、相続放棄をすることとなりました。

特別縁故者の制度を活用

その結果、Cさんには1人も相続人がいない状態になりました。通常相続人がいない場合は相続財産が国庫に帰属することとなります。しかし故人と特別な関係にあった人が財産を引き継げる方法として「特別縁故者」という制度があります。

今回Aさんは、この制度を利用し家庭裁判所に申し立てをしました。家庭裁判所からの審判で、AさんはCさんの「特別縁故者」であることが確定しました。結果、Aさんは無事に相続財産を取得することができました。

事前の準備が大切

近年では離婚再婚をする方が増えています。

結婚したカップルの3組に1組が離婚するともいわれています。

再婚した際に養子縁組をしていなかったり、遺言書がないことで思わぬトラブルを招くことがあります。まだまだ先のことと思わずに相続について真剣に考え準備をしておくことが重要です。また、今回のようなケース以外にも再婚相手に実は認知した子供がいたことが戸籍を取得して初めてわかることもあります。相続でいらぬ争いを生まないためにも今の内からご家族で話し合われておくことをお勧めします。