行方不明の相続人がいる場合

2020年01月20日

相続が発生した際、所在のわからない相続人がいる場合もあるかと思います。このような場合にはすぐに遺産分割協議をすることはできません。ですが、いつまでも遺産分割協議ができないというのも困ってしまいますね。では、どうすればよいのでしょうか。

不在者財産管理人の選任

<不在者ならびに不在者財産管理人とは>

従来の住所又は居所を去り、容易に戻る見込みのない者を【不在者】といいます。そして、不在者に財産管理人がいない場合に、不在者自身や不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護するため、財産管理人を家庭裁判所が選任することがあります。このようにして選任された不在者財産管理人は、不在者の財産を管理、保存するほか、家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で、不在者に代わって、遺産分割、不動産の売却等を行うことができます。

家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立て、この財産管理人が不在者の代わりに遺産分割協議に参加することで遺産を分割することができるようになります。

失踪宣告

不在者の生死不明の状態が一定の期間(失踪期間)を過ぎた場合、家族などの利害関係人は、家庭裁判所に【失踪宣言】の申し立てを行えることになっています。失踪期間は、普通の失踪の場合は7年、戦争や海難事故など特別の場合は1年で、失踪宣告を受けた者は法律上死亡したものとみなされます。

 

このように所在のわからない相続人がいる場合にはいくつかの手続きをしてからでないと遺産分割協議が行えません。調査をして行方不明の相続人を発見できれば良いですが、その場合には時間がかかりますし、上記の方法をとるにしても大変なことが多いと思います。生前からそのような相続人予定者がいる場合には、公正証書遺言を作成しておくなど何らかの対策をすることも検討していくと良いでしょう。お悩みの方は専門家へ一度ご相談ください。