相続の基本 相続分とは違う遺留分とは?

2019年12月09日

遺言で財産を、誰に、どれだけ与えるかは自由です。しかし、全財産を他人に与えるなどということが許されてしまっては、残された家族の生活は困窮してしまいます。そのため民法には、一定の範囲の相続人に、最低限の遺産が確保されるということが定められています。これを【遺留分】といい、被相続人もこの部分だけは自由に処分できません。遺留分についてさらに詳しく説明したいと思います。

遺留分が認められてる人:配偶者、子とその代襲者、直系尊属 ※兄弟姉妹には遺留分がない。

遺留分の割合:相続人全員で被相続人の財産の1/2、相続人が直系尊属のみの時は財産の1/3。これを法定相続分で配分したものが各人の遺留分となります。

<遺留分の対象となる財産額の求め方>

遺留分の対象となる財産=相続開始時の財産+生前に贈与した財産-債務

相続開始時の財産…遺贈された財産も含まれる

生前に贈与した財産…相続前1年間にした贈与、遺留分を侵害することを双方が承知でした贈与、特別受益にあたるもの

 

実際の相続額が遺留分に満たないとき(遺贈または贈与により遺留分を侵害された相続人)は、侵害額を限度に、その遺贈や贈与から財産を取り戻すことができます。これを遺留分の【減殺請求】といい、減殺請求をされた受遺者や受贈者は、現物を返還するか、それに代わる金銭を支払われなければなりません。しかし、減殺請求権は、相続の開始および遺留分の侵害を知った日から1年以内に行使しないと時効により消滅してしまうので注意が必要です。