相続の基本②相続したくなければ放棄することもできる?

2019年06月03日

相続とは、被相続人の権利も義務もひとまとめに受け継ぐということです。そのため、相続人は被相続人の財産を引き継ぎますが、もし借金があった場合はこちらも引き継ぐことになります。ですから欲しい財産だけを受け取り、借金はいらないというわけにはいきません。相続人が必ずその借金を抱え込まなければならないのかというと、そうではありません。相続人には以下の3つを選択することができます。

 

  • 相続放棄

プラスの財産より債務のほうが明らかに多いときは、相続放棄という選択をするのが賢明となります。相続を放棄した場合、その人ははじめから相続人にならなかったとみなされます。よって、この時にプラスの財産も一切継承することができなくなるので注意が必要となります。

 

  • 限定承認

プラスの財産と債務のどちらが多いのかはっきりせず、相続放棄をすべきかどうか判断に迷うこともあると思います。こんな時に便利なのが限定承認です。限定承認とは、相続財産の範囲内でのみマイナスの財産を弁済することを条件に、相続を承認するものです。つまり、どんなに借金が多額になろうと相続人がもともと持っていた財産から支払う必要はなく、損することはありません。こんなに有利な制度であるにもかかわらずあまり普及していないのは、財産目録の作成や一連の清算手続きが面倒という側面があることと相続財産に不動産がある場合、みなし譲渡とされ譲渡税が発生する場合があること、更に限定承認は相続人全員が共同でしなければならないので、一人でも反対する者がいれば行えないという点にあるでしょう。

 

  • 単純承認

相続放棄や限定承認をするには、いずれも、自分が相続人になったことを知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所にその旨を申述することが必要です(3ヶ月過ぎた場合でも相続放棄が認められることがある)。この期間を過ぎると単純承認とされ、無条件に相続を承認したものとみなされます。また、相続財産を一部でも処分(売却、贈与、消費など)した場合は単純承認とみなされ、相続放棄ができなくなってしまうので要注意です。

 

相続状況の確認をしないまま手続きを始め、後日借金や債務が見つかった場合、相続放棄できない例があります。まずは全体像の把握をすることが大切です。